築50年の木造和風住宅のリノベーションである。
障子や襖などの建具で細かく仕切られた部屋を、現代の生活スタイルに合わせた居住スペースに改修することが求められた。
そこで、画一的な光を十分に取り込んだ開放的な空間を実現するのではなく、光の取り入れ方や視覚効果によって奥行きや広がりを生み出す空間を目指した。
ワンルームのLDKに設けた垂れ壁と袖壁は、スペースを分節し、その先に空間を感じる情感豊かなシークエンスをつくり出す。この壁は、構造壁として機能し、視覚効果を生み出すエレメントでもある。
ミニマムなインテリアと光と陰に彩られた住まいは、空間に豊かさと深みを与えて、これからもゆっくりと時を刻み続けるだろう。
フローリングは建物の歴史に寄り添う色合いに加え、歩行感と質感で選択した。

設計 │ フォルム･木村浩一建築研究所